こんにちは、思考の種です。
英文を読む時には、その指針となる頭の使い方、読み方があります。
そして、それを意識しているか、していないかで読解の点数が大きく変わります。
この記事では、英語や現代文が得意な現役京大生が、英文を読む時の頭の使い方、動かし方の代表的なものを紹介していきます。
英語が得意な人の頭の使い方を徹底的に解剖、言語化していきます。
そっくりそのままマネしてしまえば、あなたも得意に近づくことができるかもしれません!
- 英文読解力を伸ばしたい受験生
- 英語学習中の社会人、大学生
ちなみに、現代文と英語はやっていることは基本的に同じです。
他科目への汎用性
この記事は、英語の読み方について触れていますが、現代文などの他科目にも応用が可能です。
特に英語と現代文はそこまでやっていることが離れているわけではありません。
同じような頭の使い方で、同じように解くことができます。
何かを読んで、理解し、解答を作成する。
解答の作成方法は現代文に比べると英語の場合はより単純です。
何かを読んで、理解する。
その点においては現代文、英語は同じ頭の動かし方をしていて、それを理解できれば、全体的な点数が上がります。
前提 なぜ人は書き、そして語るのか
文章を読む前に、そもそも、なぜ人は書き、そして語るのかについて理解しておく必要があります。
なぜ、筆者は時間をかけて本や論文、文章を書くのでしょうか??
それは単純なことで、なにか伝えたい事があるからです。
基本的に筆者は、何かを伝えるために文章を書きます。
その何かはそこまで多いわけではありません。
ただし、その筆者の主張や意見は世間の大衆に即座に受け入れられるとは限りません。
その何かとは、筆者独自の考え方、みんなはこう思っているけど、実はこうなんだよ、という世間一般の常識は間違っている!というものが多いからです。
筆者は自分の主張を受け入れてもらうために、具体例や比喩を使って、わかりやすく説明したり、データや他者の意見をを引用して、客観性を担保しようとします。
また、譲歩をしたり、筆者とは反対の意見にある程度は理解を示したりするなど、読者に自分の考えを理解してもらおうとします。
そのため、文章はどんどん長くなっていきます。
読解作業とは、長い文章の中から、筆者の伝えたい少しのことをいかにつかまえるかのゲームといっても過言ではありません。
いらない情報を削ぎ落として、本当に必要な情報だけを掴みにいく。
そんな姿勢が大事です。
こんなに世の中が本で溢れているにもかかわらず、次々と本屋さんには新しい本が入荷されていきます。
なぜ、新しい本を書く人がいるのでしょう??
それは、世間一般の大衆はこう考えているけど、教養のある私に言わせると、そんなの間違っている!私が世間を啓蒙しなければ!というエリート意識があるからです。
筆者とは、一言でいえば、自意識過剰で嫌なやつです。
それって、そのまま思考の種くんにもあてはまるんじゃ…
。。。
ここから引き出せる帰結の一つとして、よくある英文の展開の代表例をあげておきます。
よくある英文の展開の代表例
よくある英文の構造は、一般論と筆者の意見の対立です。
一般論とは、多くの人々の間で共有されている考え方、広く支持されている意見のことを指します。
イメージとしては、無知な大衆が、表層的な理解しかせずに、感情や主観的要素によって物事の判断をしてしまっているのが一般論。
一方で、筆者の主張とは、一般論とは正反対に、少数のエリートが客観的な証拠に基づき、物事の本質をえぐりだしたものという認識で良いでしょう。
このことは、かなり読解に直接的に活かすことができます。
受け身的に読むのではなく、予測しながら積極的に読むことができるからです。
キーワード
一般論と筆者の意見の対立には、さまざまなキーワードが隠されています。
その代表例が、
many people most people popular often widely など、高い頻度や大衆を匂わせるような表現。
これらは、一般論であることを示すキーワードです。
これらの表現があったときは、その内容は誤りで、筆者に否定されることが多いです。
It is widely believed that every word has a correct meaning.
という文があればどうでしょうか。
widelyがあることから、一般論であることを予測し、筆者の主張はこの逆、すなわち、どの単語にも正しい意味があるとは限らないというような趣旨になることがわかります。
後述しますが、believe 信じる は、主観的語彙になる可能性があり、客観的な主張との対比で使われることが多いです。
主観的に信じ込んだ内容は、間違いであることが多い。
だから、このthat節の内容は誤りであり、その後に筆者の主張が逆説の後になされることが予想できます。
Many people still assume that
ここには、3つのキーワードが含まれています。
まずは、先ほどもあげたmany people.
これは、一般論を表す記号でしたね。
さらにstillという副詞もキーワードになり得ます。
stillの意味は、「いまだに」です。
ここから筆者の気持ちが読み取れますか??
筆者は、世間の大衆は、「いまだに」あんな古臭くて根拠のない考えを抱いている。
そんな彼らは時代遅れで間違っている!!という気持ちをこめて、stillを使っています。
最後に、assume これは、主観ワードになります。
詳しくは後述しますが、この3つのキーワードから、that節内は間違いであることが多いと予測できます。
予測は外れることもありますが、予測、修正を繰り返して読んでいくと、圧倒的速読に繋がります。
わかりやすいようにキーワードと書きましたが、キーワードだけを覚えていれば良いというわけではありません。この言葉は、こんな話の展開で用いられることが多い、という事実を知って、読解にいかしていきましょう!
筆者と出題者についてまずは理解しよう
これは英語よりも現代文において重要なことです。
基本的に入試現代文では、筆者と出題者と受験生の「三角関係」を理解していることが重要です。
これに関しては別記事でまとめます。
1 【重要】アクティブに文章を読もう!
アクティブに読むことで、速読への一歩につながります。
アクティブに読むとは、文章の展開を予測し、修正や確認をしながら読んでいくことです。
ミクロとマクロの視点、両方大事です。
ミクロのアクティブ読み
ミクロとは、文レベルの解釈のことです。
英文の場合は、1文1文を読んでいくときの読解プロセスのことです。
英文解釈の授業をイメージしてもらうと良いでしょう。
左から右に読んでいくプロセスとは、文法や文構造のルールに従いつつ、予測を立てながら文の構造、意味を確定していくプロセスです。
ミクロのアクティブ読みについてはまた別記事でまとめます。
マクロのアクティブ読み
マクロとは、文よりも大きい単位である、文章レベルの解釈のことです。
この記事ではこちらを軸に扱っていきます。
要するに、いかにして文章を読んでいくかということ。
長文の授業をイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。
先ほど紹介したようなキーワードや、これから紹介する文の構造、背景知識、筆者の主観的気持ちの理解などを総動員してアクティブに読んでいくことを意識しましょう。
ここからは、具体的に僕が英文を読む際に意識していること(意識的に学習することで、今は無意識でやっていること)を8つ紹介していきます!
2 文章の基本構造3パターンを知ろう
文章の基本構造3パターンを知ろう
- 対比構造
- 類比構造
- 因果関係の構造
の3つです。これは東進の林修先生を参考にさせてもらいましたが、だいたいどの現代文の講師も同じようなことを言っています。
人間の思考は、この3つの構造でなされます。
AとBは違うという対比。AとBは似ているという類比。AだからBという因果関係。
特に英文の場合は、対比的な構造で書かれる事、そして言い換え(類比)がなされることが本当に多いです。
対比はデカルトの物心二元論の名残、言い換えは英語の言語的特性と関係しているかもしれません。
詳しくは後述します。
駿台の桜井先生は対比と言い換えで、すべての英文が読めるとおっしゃっています。
実際、京大の問題は対比と類比(言い換え)を中心とする構造の文章がこれでもかというくらい頻出します。
詳しくは青本を参考にしてください。赤本とは比べ物にならないくらい、本当に良書です。
3つの構造について、英語の知識と絡めながら説明していきます!
対比構造
これは、英文解体新書のなかでは、比較と対象(Comparison and Contrast)と書かれています。
Aの良さを紹介したい時に、単にAの良さだけを熱弁されてもこまりますよね??
Bと比べながら話をすると、Aの良さやストロングポイントが明らかになりやすいです。
対比構造で筆者が自分の考えを伝えるには、よりよく自分の考えを理解してもらいたいという心理が働いているからです。
Bなんてだめだ!こうこうこういう理由で、Aが大事なんだ!!
やや乱暴に翻訳すると、英語の論説は基本的にはこんな感じの論調です。
ヤンキーは物理的暴力で相手を納得させますが、それと同様に筆者は理論とデータをこれでもかというほどに読者にぶつけます。
例えば英文の中では、日本と欧米の対比、一般論と筆者の主張の対比など、さまざまな対比構造があります。
頻出の対比構造やそれにまつわる背景知識については、また別記事にまとめます。
英文を読んでいくにあたっても、これとこれが対比になっているな、ということを意識しながら読んでいけると文章理解が進みます。
類比構造
類比とは、似ているものを持ってきて、読者に具体的な想像をしてもらい、説得力を持たせるために用いるものです。
比喩や具体例を用いて、抽象的かつ一般的な話を読者に理解を促します。
例えば、クラゲを知らない人にクラゲのことを知ってもらうのはどうするでしょうか。
海の中でカーテンのようにひらひらと泳ぐ、ビニール袋に水を詰めたような丸くて透明ないきもの。
のような感じで、より読者には身近でわかりやすい物と類比させて理解してもらおうとするのではないでしょうか??
基本的に筆者が伝えたい内容は難しく、抽象的なものが多いです。
なので、類比構造、抽象と具体の関係は頻出します。
具体例がでてきたら、具体例はなにか筆者の大事な主張を伝えるための合図だと捉え、かっこでくくり、意識的に抽象的な筆者の意見を探すように読めば良いです。
読解作業としては、こんな感じ。
因果関係の構造
これは簡単でしょう。
A だから B というような関係。
英語では因果関係は接続詞で明示されることが多いです。
詳しい説明はここでは避けますが、英語にかかわらず、そもそも論理構造は接続詞に現れます。
- therefore
- thus
- because
- hence
- as a result
などなど、たくさんの因果関係を表す接続詞があります。
論理の貫通とは??
これは東進の林修先生が教えられているものです。
先述したように、基本的に筆者が伝えたいことは多くありません。
その伝えたいことをなんどもなんども繰り返し説明します。
特に英文では顕著です。
ずーーーっと同じ話を、表現を少しずつ変えながらこれでもかというほどに繰り返します。
これには、英語の使われ方、歴史に関係しています。
筆者の書き方の特徴として、段落冒頭に主張が来ることが多いということは皆さんも知っていると思います。
そして、その後にその抽象的かつ一般的な主張をわかりやすく伝達するために、具体化します。
その後に、少し表現を変えて、もう一度全く同じ主張を繰り返すんです。
わかってもらいたいなら、わかりやすく、そしてなんども伝えるしかない。
そんな心理が働いているのだと思います。
その結果、こんな感じで筆者の言いたいことは段落冒頭と最後で同じであることが多く、その理解を問う問題が、特に現代文では頻出します。
筆者が伝えたいことは一つで、スパーーンと論理が貫通しています。
英語でも、論理の貫通を理解していると、筆者の言いたいことがすぐに掴めます。
論理的思考力とは、
抽象具体の関係を整理する力
因果関係を整理する力
対比関係を整理する力
この3つに集約できるという考え方が一般的です。
論理的とはどういうことなのか、これについては語るべきことがたくさんあるので、また記事にまとめます。
3結局何が言いたいの?と批判的に読む。情報を圧縮 抽象と具体
先述しましたが、筆者が文章を通じて読者に伝えたいことはそれほど多くありません。
でも、実際の文章はとても長いじゃん…
そうなんです。それは筆者が読者に自分の考えを理解してもらおうと頑張っているからです。
筆者が伝えたい、世間の一般常識とは異なる主張は、抽象的で難しいことが多いです。
それをよりよく理解してもらうために、筆者は具体例や比喩などを用いてわかりやすく説明しようとします。
また、筆者の主張と世間の一般常識は対立していることが多いですから、簡単には読者には受け入れられないでしょう。
そんな時も筆者は負けじと、譲歩構文を用いたり、客観的なデータを用いたりして、なんとか読者を説得しようとします。
その結果、文章はどんどん長くなってしまうのです。
ある程度長くないと、原稿代が貰えないという大人の事情もあるかもしれませんが(笑)
筆者は自分の伝えたいことをなんどもなんども繰り返し説明します。
特に英文では顕著です。
ずーーーっと同じ話を、表現を少しずつ変えながらこれでもかというほどに繰り替えします。
これには、英語の使われ方、歴史に関係しています。長くなるので、また別記事にまとめます。
この、抽象と具体の関係性を読解に活かします。
筆者が伝えたい抽象的なところだけにしっかりと線を引いて、具体例や比喩はかっこに入れておきます。
抽象と具体の分類です。
具体例を制するものは評論を制するという言葉もあるくらい大事で、かつ基本的なことです。
イメージとしてはこんな感じ。
必要な情報だけをしっかりとつかみ、必要のない情報を削ぎ落とす。
これが、読解力です。
筆者の主張をぎゅっぎゅっと、圧縮しながら読んでいきます。
なんやかんや筆者は色々言っているけど、要するにこれが言いたいんだよね??
これを伝えたいがために、こんな具体例を用いているんだよね??
そんな感じで読み進められると、英文読解スピードは格段に上がります。
4情報の流れに敏感になる
1文レベルのみならず、情報の流れは文章レベルでも重要になってきます。
情報の流れは英語において、とても重要ですので、詳しくはまた別記事にまとめます。
ここでは基本的なWhole Part法だけはしっかりと確認しておきたいと思います。
最初に抽象的・一般的な表現で全体像を示したうえで、個別の部分を徐々に具体化して説明していく方法です。
全体像が先に示されることで、読者の心理的負担が軽くなり、その後の展開を予測しながら読めることから、かなりこの構造は好んで用いられます。
情報の流れという観点で捉えると、抽象→具体の流れ。
In Japan, there are two types of people. Some〜〜〜. In contrast, others〜〜〜.
初めに2種類の人がいる!と一般的なことを述べておいて、その後にsome others を用いて対比的に場合わけして、具体化していきます。
このほかにも、first secondなどを用いて順番に説明していく方法など、いろんなバリエーションがあります。
抽象・具体を説明した箇所や、アクティブに読むことの重要性を説いた箇所でも述べましたが、
抽象性の高い複数形の名詞句がでてきた際に、第2文目以降で具体的にわかりやすく説明されていくのではないかな、と予想して読めることが重要です。
哲学的内容の場合など、文章の抽象度が高く、文頭では意味がわからない場合でも、このことを知っていればあせることなく、のちに抽象的な部分は具体化されてわかりやすくなるから大丈夫だ、と文章を読み進めることができます。
はじめはなにを言っているかわからなくても、全部読んだらやっと内容を理解できた、なんてこともざらにあります。
5とりあえずプラスかマイナスかは最低限つかんでパラメモで一旦セーブ
パラメモとは、駿台の竹岡先生が推奨している方法です。
1パラグラフで筆者が伝えたいことは1アイデアであるという、1パラ1アイデアの原則に基づいて、
1パラグラフを読んだら、その内容を忘れないように、すぐに内容を後から見返して理解できるように、メモをとります。
やることは簡単。1パラグラフを読んだら、左スキマに日本語でいいから、その内容を要するにひとことでいえばどういうこと??という感じに、短い言葉に圧縮してメモをしておくだけ。
これって、内容をしっかり理解できていないと意外と難しいんです。
結局筆者はここでなにを言いたいんだっけ??という批判的読解力、情報をぎゅっと要約する力が身に付きます。
これは読解中に行うので、簡単でOKです。
○○はプラス、△△はマイナス、みたいに、プラスマイナスの情報をメモしておくだけでも十分です。
6多読で背景知識、慣れ
結局はたくさんの文章を読んで背景知識を身につけたり、慣れることで読解力をあげていくしかありません。
背景知識は、英語のみならず日本語でも良いのでたくさんの本を読むことです。
僕も生徒の時、先生に散々言われました。
わかっているんだけど、現実問題、そんなに時間がないよ。と思うあなた。
僕もその1人でした。
しかし、今大学生になって思うのは、やはり本を読むことはすごく大事。
「教養」「一般常識」は特に東大京大を受験する方には大事です。
英文の頻出展開については別記事にまとめます。
ぜひそれを参考にしてみてください。
力がつく英文の復習の仕方は、こちらの記事にまとめています。
速読力を向上させるには、リスニングなどの音声に基づく勉強をすべき理由もまとめてありますので、ぜひ。
7伏線を意識する
これはアクティブに読む話と関わってきます。
Many people still assume that〜〜
先ほども出てきたこの文ですが、3つのキーワードから、that節以下の内容は間違いだと否定されるだろうな、と予測して読み進めることが重要です。
8単語の裏の意味まで深く理解する。単語の訳ではなく、働きに注意せよ。
単語について、語源や英英辞典を利用しながら理解を深めることはとても大事です。
そして、しっかりと適切な訳語を選択できることも大切。
しかし、それ以上に大切なのが、単語の訳を表面上だけでするのではなく、しっかりとその単語の裏の意味、筆者がその単語をあえてその文脈で選んだ意味を理解し、読解に活かすことです。
これについては、量が多くなってしまったので、別記事でまとめます。
ここまで深く理解していなくても英検1級には受かることはできるし、共通テストで満点を取ることも可能です。
しかし、例えば国公立大学の2次試験の記述問題や、私立大学の時間制限の厳しい長文問題で、高得点を取って他の受験生に差をつけるためには、
単語の裏の意味までをしっかり理解して、それを実際の読解や英作文に活かす、そんな応用力が必要です。
また読解時に注意すべき語彙やキーワードについてはまとめたいと思います。
まとめ
読解に必要な頭の動かし方をなんとなく理解できましたか??
今回のような読解の知識や背景知識はなくても、まっすぐと読んでいけば解くことができるように問題は作成されています。
しかし、読み方、背景知識で受験生の間に差がついてしまうのも事実です。
入試本番で無意識で、楽に問題を解くことができるように、今意識的に勉強しましょう!
最後に、読解時の頭の使い方を学ぶという点で、おすすめ参考書をあげておきます。
ぜひ、何度もこの記事を読み返して、英文読解を得意になってくださいね!!
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